こんにちは、こみみに編集部のカルロスです。
日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』、二宮和也さんの役がシーズン1の「渡海征司郎」から「天城雪彦」になり、キャラも変わったことで話題になっていますが、オペのシーンで流れるクラシックも注目されています。
また、流れるクラシックには、ドラマと関連性があると評判になっています。
今回は、二宮さんがXでのリアルタイム実況で「天城クラシックタイム!」とポストする、オペシーンで流れたクラシックについて、流れた曲とオペシーンの関連性を筆者の考察と共に紹介します。
第1話:パガニーニ
曲名
作曲:ニコロ・パガニーニ
曲名:カプリース(奇想曲) 24番
オペシーン
パク・ソヒョン(チェ・ジウさん)の虚血性心筋症の手術。
世良は手術に立ち会うことになり、初めて見る天城のダイレクトアナストモーシスという”現実に起きた奇跡”に言葉を失います。
心臓しかオペをしないと言う天城、他の医師による開胸が終わり、天城が”ダイレクトアナストモーシス”を行う場面で流れました。
キーワードは”悪魔”
パガニーニはバイオリンの技術があまりにも凄く、人間業とは思えない超絶技巧で演奏していたことから、当時“悪魔に魂を売って、その代償にテクニックを得た”と噂された程のバイオリニストでした。
自らを“神に愛された悪魔”と言う天城、世界で唯一彼しかできない「ダイレクト アナストモーシス」の凄さを、悪魔に魂を売ったと言われるバイオリストの曲を使うことで表現したんでしょうんではないでしょうか。
この曲は第2話以降で、オペシーン以外でも流れています。
天城のテーマ曲と言っても良いんではないでしょうか。
第2話:ベートーヴェン
曲名
作曲:ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン
曲名:ピアノソナタ第8番 ハ短調 作品13 ”悲愴” 第3楽章
オペシーン
僧帽弁閉鎖不全症と肺気腫を患っている繁野隆道の公開手術。
天城のダイレクトアナストモーシスが完了した後に、垣谷が心臓内の石灰を除去したことで大量出血が発生します。
一度はオペ室を退場した天城が再びオペ室に戻り、心臓を脱転、裂けた部分にフェルトを縫い付けることで止血するシーンで流れました。
実はこの曲、第1話でも流れていました。
パク・ソヒョンが1回目の賭けに負け、部屋から出ていく天城を世良が追いかけ「目の前の患者を見捨てるのはおかしい」と天城を非難する場面。
天城が世良に「ダイレクトアナストモーシスは君には一生かかっても出来ない」と言い放つ場面で流れたんです。
キーワードは”名声”
ピアノソナタ第8番 “悲愴”はベートーヴェンの初期の作品です。
今では作曲家として名を残しているベートーヴェンですが、この曲を作曲した当時は”気鋭のピアニスト”として有名でした。
この曲は作曲当時、大変な人気となり、ベートーヴェンが作曲家として名声を得た作品です。
全日本胸部外科学会で公開手術でダイレクトアナストモーシスを成功させ、さらには垣谷の判断ミスで患者が大量出血した危機的状況を見事解決し、多くの来場者から喝さいを浴びたことで、日本の医学会で名声を得るきっかけとなったことから、この曲を選んだのではないでしょうか。
1話でこの曲が流れたのは、「このままではパク・ソヒョンは死んでしまう」・「世良にはパク・ソヒョンを助けることはできない」という悲愴的な状況を、「悲愴」という題名の曲を使うことで、現実の悲愴感を引き立たせたのではないかと考えてみました。
第3話:サン=サーンス
曲名
作曲:カミーユ・サン=サーンス
曲名:死の舞踏 作品40
オペシーン
30分以内に全てを終わらせなければいけない梶谷年子の公開手術。
残り15分、手術を見ていた誰もが間に合わないと思っていましたが、天城のダイレクトアナストモーシスと同時進行で、世良が閉胸をすることで、残り1秒というところで無事手術が終了します。
この、ダイレクトアナストモーシスと閉胸を同時進行する“ミックスオフポンプダイレクトアナシスモーシス“を行っているシーンで流れました。
キーワードは”死神”
「死の舞踏」は、「真夜中、死神が奏でるバイオリンに合わせて骸骨が不気味に踊る様子」を描いた曲です。
ドラマで流れたのは、曲の序盤”真夜中に死神がバイオリンで舞踏の調べを奏でる“様子を表現している部分です。
死神は”生死を司る神”で、”生死を操る能力がある”とも言われています。
30分で手術を完了させなければ命を落としてしまう患者。
本来であれば不可能な状況下で、天城は“ミックスオフポンプダイレクトアナシスモーシス“で手術を見事成功させます。
患者に”生きる”ことを与えた天城に“死神”を重ね合わせたのではないでしょうか。
第4話:ラヴェル
曲名
作曲:モーリス・ラヴェル
曲名:ボレロ
ドラマで流れたのはオーケストラ版の原曲ではなく、”→Pia-no-Jack←“さんが演奏するアレンジバージョンでした。
動画はライブで演奏されたときのものです。
※ドラマで流れた部分は28分20秒頃から演奏されています。
“→Pia-no-Jack←“さんは、ピアノ担当のHAYATOさんとカホン担当のHIROさんの2人による、インストゥルメンタルユニットです。
オペシーン
美和の母・戸島和子の維新大による公開手術。
医療AI“エルカノ”の指示による執刀で、オペは成功したかに思えたが、VF(心室細動)が発生。
維新大の医師が手術を止めようとしたとき、オペ室に世良が現れます。
天城から助言をもらいながら練習に励んでいた世良は、練習の成果をこの公開手術で披露します。
オペをする様子と、天城に指導を受けている様子が交互に映し出されたシーンで流れました。
キーワードは”繰り返し”
「ボレロ」の原曲は15分間の間、二つのメロディーだけが楽器を変えながら延々と繰り返されます。
世良が天城から指導を受けて、天城と同じことが出来るようになっていく様子、そして、世良が繰り返し練習して成長していく様子を、同じメロディーが繰り返される「ボレロ」に重ね合わせたのではないでしょうか。
本来のオーケストラ版ではなく、アップテンポのアレンジ版にしたのは、今回のオペは世良だったので、天城のオペの時のような重い雰囲気ではなく、まだ天才の域には達していない世良が、どんどん成長していっているところを表現したのかもしれません。
第5話①:ロッシーニ・・戸島和子のオペシーン
曲名
作曲:ジョアキーノ・アントーニオ・ロッシーニ
曲名:『ウィリアム・テル』序曲から『スイス軍の行進』
オペシーン
医療用AI”エルカノ”の指示による維新大の手術に失敗し、世良がフォローに入るも大量出血を起こしてしまった戸島和子。
危機的状況に天城が現れます。
和子の娘・花房美和の天城との賭けは負けたと思われていたが、強運もあって実は賭けに勝っていたのでした。
天城が”ダイレクトアナストモーシス”による手術を拒否する和子の意向に沿って、バイパス手術を行い和子の命を助けます。
天城がバイパス手術を行っているシーンで流れました。
キーワードは”名手”
「ウィリアム・テル」は弓の名手でした。
“息子の頭の上に置かれたリンゴを、ウィリアム・テルが見事矢で射貫いた”というのは有名な話です。
維新大は手術を止めようとし、フォローに入った世良でも助けることが出来なかった和子を、天城がいとも簡単に救ってしまう手腕を、弓の名手「ウィリアム・テル」と重ね合わせたのではないでしょうか。
第5話②:パガニーニ・・天城が音楽を聴くシーン
曲名
作曲:ニコロ・パガニーニ
曲名:バイオリン協奏曲第2番ロ短調『ラ・カンパネラ』 第3楽章
流れたシーン
ソヒョンの手術費用として、ソヒョンの一号店を1200万円で売却することになった後、世良がソヒョンの手術をして欲しいと天城を訪れたとき、天城がヘッドフォンで聞いていた曲です。
実際には”ソヒョンが心臓の病気”ということは、天城とソヒョンが仕組んだ嘘で、世良もそのことを知らなかったのですが・・・
キーワードは”悪魔”
この曲を作曲したパガニーニの曲(カプリース(奇想曲)24番)は、第1話でも流れました。
第1話の時も説明した通り、パガニーニはバイオリンの技術があまりにも凄く、“悪魔に魂を売って、その代償にテクニックを得た“と噂された程のバイオリニストでした。
神に愛された悪魔・天城は、自らが聞く音楽(芸術)も悪魔が作ったもの、ということなんですかね。
第5話③:オッフェンバック・・木崎の不正を暴くシーン
曲名
流れたシーン
キーワードは”ドタバタ騒ぎ”
第6話:モンティ
曲名
作曲:ヴィットーリオ・モンティ
曲名:チャルダッシュ
『チャールダッシュ』や『チャールダーシュ』とも呼ばれています。
「チャルダッシュ」は、ハンガリー語で「酒場」という意味のチャールダに由来するハンガリー音楽のジャンルですが、今回ドラマで流れたモンティ作曲版が「チャルダッシュ」の代表曲として日本では有名です。
ドラマではヴァイオリンとアコーディオンの組み合わせで演奏されていました。
元の演奏が不明だったので、ドラマの演奏に近い演奏をご紹介します。
オペシーン
医師免許を取得した猫田が執刀した早川のオペ。
オペは成功したと思われた瞬間、心電図からST上昇のアラートが流れ、もはや天城のダイレクトアナストモーシスでしか助からない状況に陥ります。
天城の助手に、医師として入った猫田。
天城、エルカノダーウィン、猫田で早川のダイレクトアナストモーシスを行うシーンで流れました。
キーワードは”法律”
「チャルダッシュ」は、19世紀にウィーンの宮廷が一時チャルダッシュ禁止の法律を公布したほど、ウィーンをはじめヨーロッパ中で大流行を極めたそうです。
維新大の看護師の時、看護師には認められていない医療行為という法律を違反してまで命を救おうとした猫田さん、東城大で努力して医師免許を取得し、今度は医師として法律で認められた医療行為を行う様子を、この曲で表現したかったのかもしれませんね。
第7話①:シューベルト・・天城の手術失敗!?
曲名
作曲:フランツ・ペーター・シューベルト
曲名:歌曲『魔王』作品39 第1番
ドラマでは、ピアニストの”まらしぃ“さんがこのために撮り下ろしたピアノアレンジバージョン『ちょっとつよい魔王』が流れました。
まらしぃさんは、『魔王』だけでなく、クラシックの名曲を新たな解釈でピアノアレンジした“ちょっとつよいクラシック”が有名です。
ベートーヴェン、モーツァルト、ショパン…、クラシック曲をまらしぃさん独自のアプローチで演奏しています。
流れたシーン
全日本医学会会長選で行われた上杉会長の公開オペ。
ダイレクトアナストモーシスを行っている最中、上杉会長の心臓から大量出血が発生します。
天城がまさかのミス!?!?
上杉会長の心臓から出血したところから、世良が”天城がお金の為にわざと失敗したのでは?”と疑うシーンで流れました。
キーワードは”父と子”
『魔王』は、”高熱を出した息子を抱きかかえる父に、息子は魔王がいると必死に訴えるものの、父には理解できず、恐怖の叫びが伝わらないまま、息子は父の腕の中で息絶えてしまう”という内容です。
第7話は父親・歳一とその息子・歳弘の確執がテーマとして描かれていることからこの曲が選ばれたのではないでしょうか。
“父と子”に加えて、”お金の為にわざとオペを失敗した“という、天城の悪魔っぷりを『魔王』という名前の曲を使って見事に表現していました。
(実際にはわざと失敗した理由は他にあったのですが・・・)
第7話②:エルガー・・佐伯と天城のコラボオペ
曲名
作曲:エドワード・エルガー
曲名:『威風堂々』作品39 第1番
流れたシーン
上杉会長の手術でミス(?)を犯した天城。
その責任を取るため、佐伯院長は会長選の会場にあったエルカノ・ダーウィンで上杉教授のオペに遠隔で加入。
天城とコラボし、2ヵ所同時のダイレクトアナストモーシスを行うのですが、このシーンで重厚な旋律が流れました。
キーワードは”威厳”
『威風堂々』という言葉は、態度や雰囲気や佇まいが威厳に満ちていて立派なさまを意味する表現で使われます。
天城と佐伯院長がコラボダイレクトアナストモーシスを行う様子は堂々としていて、まさに威厳に満ち溢れていました。
第8話
曲名
作曲:フレデリック・ショパン
曲名:英雄ポロネーズ
正式な曲名は『ポロネーズ 第6番 変イ長調 作品53』ですが、『軍隊ポロネーズ』という名前の方が有名ですね。
今回紹介する演奏は、「Cateen かてぃん」としてYoutubeで活動されている角野隼斗(すみの はやと)さんが、2022年の「Fuji Rock Festival」で演奏したものです。
オペシーン
天城が倒れ、佐伯院長と世良が天城のオペを行うシーン。
佐伯院長がダイレクトアナストモーシスを開始しますが、その途中で僧帽弁逆流が発生、僧帽弁形成術(佐伯式)を行うことになります。
ところが、佐伯院長は緑内障によって、視野が欠けていたのです。
佐伯院長は、世良に針先を誘導するように指示し、あとは感覚でオペを行うと言います。
世良が佐伯院長の目となり、2人で天城の心臓を、佐伯式でオペするシーンで流れました。
キーワードは”想い”
『英雄ポロネーズ』は、ロシアに占領されたショパンの祖国・ポーランドの為に戦い続けた兵士達への想いを込め、ポーランドの独立を願いながら作られたと言われています。
視野が欠けていながらもオペを行おうとする佐伯院長、それに必死に応えようとする世良、そして2人を見守る高階ら東城大のスタッフ、全ての人が天城を助けたいという”想い”と、ショパンの『英雄ポロネーズ』を作曲したときの”想い”が重なった気がしています。
その後に現れる、英雄(悪魔!?)・渡海の登場の伏線という解釈もありますね。
第9話:クラシック流れず
第9話ではクラシックが流れませんでした。
天城先生のオペシーンが無かったので仕方ないですね。
渡海のオペで流れたのはメインテーマ
ちなみに、渡海先生が天城先生のオペをしたときに流れたのは、シーズン1のメインテーマをロック調にアレンジしたバージョンでした。
最終回では、天城先生がオペするシーンをクラシックが彩ってくれることに期待です。
第10話①~徳永の公開オペ~
公開オペの最中、患者の徳永が悪性高熱を発症するも、天城は人工心肺を使ってオペを続行するシーンで、これまでに流れたクラシックが流れました。
1曲目:悲愴
作曲:ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン
曲名:ピアノソナタ第8番 ハ短調 作品13 ”悲愴” 第3楽章
⇒第2話で流れました
最終回では、天城が人工心肺を使ってオペを再開する時に流れました。
2曲目:死の舞踏
作曲:カミーユ・サン=サーンス曲名:死の舞踏 作品40
曲名:死の舞踏 作品40
⇒第3話で流れました
徳永の動脈が過去のオペで切除され、ダイレクトアナストモーシスに使える動脈が無いという中で、天城が橈骨動脈を使おうとする時に流れました。
3曲目:魔王
作曲:フランツ・ペーター・シューベルト
曲名:歌曲『魔王』作品39 第1番
⇒第7話で流れました
最終回では、真行寺からオペを止めるように指示されますが、天城はそれを拒否しオペを継続、オペ室に佐伯院長が登場する場面で流れました。
4曲目:ラ・カンパネラ
作曲:ニコロ・パガニーニ
曲名:バイオリン協奏曲第2番ロ短調『ラ・カンパネラ』 第3楽章
⇒第5話で流れました
最終回では、学会会場で佐伯院長が「3ヶ所同時ダイレクトアナストモーシスです」と宣言し、橈骨動脈の採取を行う場面に切り替わった時に流れました。
第10話②~佐伯院長が天城司の想いを語る場面~
曲名
作曲:フランツ・リスト
曲名:超絶技巧練習曲 第4曲 マゼッパ
ドラマでは、まらしぃさん演奏の『ちょっとつよいマゼッパ』が流れました。
まらしぃさんの演奏が見つからなかったので、盲目のピアニスト辻井伸行さんの演奏をお聞きください。
流れたシーン
徳永のダイレクトアナストモーシスに、胃大網動脈が使えないことが判明します。
3ヶ所同時ダイレクトアナストモーシスは無理だと思われた時、佐伯院長の指示により「下腹壁動脈」が使えることが判明します。
8年前、天城司先生が徳永のダイレクトアナストモーシスを失敗したときに、天城に託すために「下腹壁動脈」を残した、ということを佐伯院長が天城に伝えた時に流れました。
キーワードは”高度な技術”
『マゼッパ』は、元々の題名が「卓抜した演奏のための練習曲集」という、演奏するには高度な技術が求められる曲集の中の一曲です。
天城司先生が、徳永さんを助けるため、そして心臓病を患っている天城を助けるためにダイレクトアナストモーシスに挑むが失敗してしまいます。
ダイレクトアナストモーシスはそれほど高度な技術を必要とするオペだということを表現したのではないでしょうか。
最終回(第10話)③~世良クラシックタイム~
天城が亡くなったのち、スリジエセンターの医師となった世良が、クラシックを流しながらオペに臨みました。
作曲:ニコロ・パガニーニ
曲名:カプリース(奇想曲) 24番
⇒第1話で流れました。
“悪魔に魂を売った”と噂されたパガニーニが作曲したこの曲、第1話では自らを“神に愛された悪魔”と言う天城が行う”ダイレクトアナストモーシス”の凄さを表現していたと思いますが、最終回では“悪魔の医師”を目指し始める世良の覚悟だと感じました。
作中でクラシックが使われたドラマ
『ブラックペアン』以外にも、劇伴(ドラマで流れる曲)にクラシックを使っているドラマも多数あります。
劇伴のクラシックが話題なったドラマをkomiminiでも紹介しています。
まとめ
今回は”天城クラシックタイム(オペシーン)”で流れたクラシックを、まとめてみました。
記事の関連性は筆者の考察によるものですので、皆さんの解釈があっても全然いいと思います。
“天城クラシックタイム”で流れる曲は、オペのシーンを多いに盛り上げていますが、その曲が使われた意味も考えて聞いてみると、ドラマも曲もより一層楽しめると思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。